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『後悔』
2010-08-09 Mon 22:02
原作:「アリとキリギリス」/イソップ寓話
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しんしんと降り積もる雪。
敷き詰められた純白のカーペットに異色が混じっている。

【キリギリス】だ。

静寂の中でわずかに聞こえてくる呼吸音。今にも消え入りそうなほど弱々しい。
【キリギリス】はもうすぐ死を迎える。
冬支度をせず、夏も秋も遊んだ代償は命で支払うことになった。
生と死を天秤にかけ、恥を忍んで【アリ】に食料を分けてもらおうともした。しかし、コケにされ続けた【アリ】が手を差し伸べるはずも無く、【キリギリス】は一片の木の葉ももらえなかった。

「何を、していたんだろう・・・?」

明白な死を目前に、答えの無い自問を繰り返す。
もう寒さや痛みを感じていない。跳躍に特化した後ろ足も凍傷で根本から腐り落ちている。

「ひっ、ごめん・・・なさい・・・ごめ、んな・・・さい。ご・・・めんなさ・・・い・・・ごめん・・・」

出てきたのは謝罪の言葉。
【キリギリス】は泣いた。涙は流れていない。もう涙分の水分も有していなかった。
誰に対して、何に対しての贖罪か【キリギリス】にも分からない。
謝りたかった。それで少しだけ何かに許されたかった。

「も・・・一・・・け、せ・・・」

言葉を発する力も奪われる。
聞こえるのは自分の浅い呼吸と、小さくなる心音。
【キリギリス】は僅かな時間と引き換えに、この世界を目に焼き付けようとした。
ゆっくりと開かれる目。"多くの一つ"を映してきた複眼。
鉛色の空と、そこから舞い散る白銀のぼたん雪を見て、世界から見放されようと思った。

でも、開かれた視界は闇一色だった。
瞳に光が灯ることはもう無い。

呼吸がさらに浅くなる。感覚を失っている体が強張る。
ゆっくりと。息を吐く。
ため息に似ている。

「      」


―――止まった。


最後の望みすら叶わなかった【キリギリス】。
悔しかっただろうか?
悲しかっただろうか?

でも【キリギリス】の最後の言葉。【キリギリス】自身にも聞こえない言葉。
証明するものは何も無いけど、多分・・・きっと、やさしい言葉だ。
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