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『代償』
2010-08-11 Wed 12:27
原作:「赤ずきん」/ペロー童話集、グリム童話
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こんな惨い殺され方をするほど(生きたまま腹を割かれた)
俺の犯した罪は(割いた腹の中に石を詰められた)
許されざるものなのか(溺死するよう川に投げ捨てられた)

俺は赤い頭巾をかぶった娘と婆さんを食った。
まずは婆さんが寝ているところを一飲みし、やって来た娘を騙してはまた一飲みで欲を満たした。
現れた猟師が二人を助ける為に取った行動も理解できる。俺が猟師の立場ならきっと同じことをしただろう。

十年以上、森の中でとぐろ巻いていれば弱肉強食ってものが嫌でも身についた。強ければ獲物を狩り、弱ければ命を刈られる。時には屍肉を拾って生き繋いだ。
今回、娘と婆さんは俺より弱者だった。猟師は俺より強者だった。
二人を助けた後、頭を銃でぶち抜かれても――納得はできないが――それは仕方が無いこと。
それだけのことだ。

なのに、なぜ俺はこんな形で死なないといけない?
割かれた腹の激痛が気絶を許さない。
石の重さが水底を近づける。
乱暴に縫われた隙間から水が臓物を犯す。

呼吸の仕方が分からない。
空気はどこだ。
助けてくれ、助けてくれ・・・

一思いに殺してくれればよかった。
誰に気付かれなくてもいい。
安らぎなんて望まなかった。
気付いたら死んでいた。それで十分だ。

地獄がもしあるのなら、この世こそ地獄だったんだ。
人間は悪魔だ。自分たちこそ正義だと思いこんでいる悪魔だ。
こんなに酷いことを思いつくなんて、そうとしか思えない。

(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い)
(苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい)

死ぬ。俺は死ぬ。
生まれ育った森の木々に囲まれること無く。森になること無く。
冷たい水の底で殺される。ふやけた肉は魚の餌だ。

あの人間どもはこれからも生きる。
俺を殺したことも思い出話の一つに埋もれるのだろう。
温かい日差しの下で命を奪った話を。やさしい声で読み伝える。
滑稽で、なんて人間らしい事か。

そうか。
ならば一つだけあの人間たちに感謝しなくちゃな。

「オオカミとして殺してくれたこと」

生まれ変わっても人間にだけはなりたくない・・・・・・
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