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UNLIMITED 暴風 WORKS
2005-07-26 Tue 12:58

TYP-HOON製作

Gale/暴風 tonight


― 体は水蒸気で出来ている。
血潮は雨で 心は風
幾たびの海面を越えて衰弱
ただ一度も南へ行かず、
ただ一度の迷走もなし。
最大風速は適度に弱り
暴風域の範囲を広げる
ならば、我が平均寿命は5.3日。
この体は 無限の低気圧でできていた




INTERLUDE 『BANYAN』

「…私は…まだ成長しているのか…?」

本州南側の海上
水蒸気が凝固する熱を受けバンヤンは目覚めた
周りは夜の闇に染まっている
そろそろ日付も変わろうとしている時刻だった
自分の体でもある低気圧を発達させる
その瞬間体の周りに暴風が発生する
が、それはまだ成長の証拠だ、風が伸びるということは感覚が生きているということなのだから

「さて…意外と私も諦めがつかないものだ…中心気圧をさらに下げないと気がすまないらしい」

そう言って、夜の海を走り出す
行く先は一つ、遠く離れたこの場所からでも分かる台風の通り道・日本。
暴風に備えようと人間たちは準備しているはずだ
もはや熱帯低気圧の存在は認めた、そして海面の熱も自分に力を与えてくれる事を知っている
ならばこの世界に現界する理由しかない…
今もこうして成長を続け、人類の脅威になろうとしている…

「水蒸気の手助けなどいらんだろうが…、ここ一番で供給を絶たれては困るからな。台風であるが故、その可能性がありえる…」

台風の事を一番分かっているのは自分である
そう分かっているからこそ自分は常に北上しなければならない
地球の自転に逆らわないように

日本は禍々しい空気につつまれたいた
空はどんより曇り、外に踏み出す毎に触れてくる風は生暖かい以外の感触はなかった

「ん?」

海岸の先に人影を見つけた
ピッチリしたモノトーンのサーファースーツに身を包んだ若者が、体から水滴を流し、座したままじっと最高の波が来るのを待っていた
濡れ具合から見ると若者は朝から風の様子を見て何度も波に挑んだのだろう
何故誰もいない海岸でサーフィンしているのか、今はどうでもよかった
その横を黙って通り過ぎる
もはや疲れきっているのか、こちらを気にすることもないのか、そのサーファーは反応しなかった

「WASHIだと思ったのだがな、その実、BANYANであったか…」

後ろから聞こえてくる声…、それは自分に向けられたものではなく、サーファーの独り言であった
だがバンヤンは後ろを振り向いた

「波を見る目には自身があったのだが…、どちらも修行不足ということか…」

そう言ってボードをしまうサーファーをバンヤンは静かに見守る
その行為に何か意味があったのかは分からない
サーファーとはたった今、重なり合ったことがあるのみ
人間なら、一度でも言葉を交わせば悔やむ友を見取るものであろうが
あいにく台風なのでそんなこと行為をする情も、暇もなかった

「BANYANか…確かにそれは自分にはいい得た名だな…」

ただ、波に惹かれた感情をずっと昔に自分も抱いたことがあった気がした… だから最後まで見送ってしまった

海岸を通り過ぎた先では土産物屋と、海の家、干物屋が店仕舞いの準備をしていた
土産物屋と干物屋はなにやら話をし、直後、土産物屋は奥から立て板を持ってきた

「本日は…閉店します…」

もはやしまわれていく商品に興味を示す者等、この場にはいなかった
土産物屋も干物屋にも見向きもせずに首都へ向かおうとした
こいつらには私の暴風はもったいない、そう分かっているからこそ、ここで大雨を降らせる意味などない

しかしふと目をやった先、店はもはや満身創痍だった
非難する意思だけがその身を動かしている
口は何かをつぶやいている、それは自分の店に立て板をはめる順番
それがキッチリはまれば店が倒れる事は無いが、もはや床下浸水は免れていなかった

「たわけ、それでは間に合わん!」

風を吹かせ、店の方へ向け強風を煽る
店も水を汲み出そうとしていたようだが
自分の方が圧倒的に強かった、店の目の前に一陣の強風が吹き荒れ、店から水を弾き出していた

「手助けはこれまでだ、あとは自分達でなんとかしろ」

「ふむ、これは予想以上に遠いな…」

海岸線を抜けすぐさま周りの高地から首都の場所を探し飛び移る

「さて…東京はどこだ…」

高地から台風の目を凝らし東京を見据える
わずかに見えた都庁に、外を見つめ折れた傘を楽しんでいる数人の会社員を発見した

「呆れたものだ…、やはり人間は台風というものをなめているらしい。傘など放っておけばよいものを…、結局ビニール傘も高級傘も作りは同じということか…」

「学校?! まさか行く気!?」

自分の真下から女性の声が聞こえた
どうやら子供が皆勤賞を狙っているらしい
しかし女性の判断は正しい
いくら勢力が弱まっているといえど、自分の暴風域に飲み込まれれば命の危険もありうる
今外に出てはいけない、命無くして皆勤賞もありえないのだから

再び都庁の会社員を見る、しかし折れた傘が広げられ見えない状態だった
このまま帰りに新しいビニール傘を買って帰るつもりだろう

「今度は…もっと丈夫な番傘にしてみる」

そんなことさせるわけがない

「いいから諦めろ。番傘など、ネタにしかならん。」

会社員へ向かって忠告する前に数多の傘が集められた
傘のビニールを全て取り外し骨と分別され捨てられていく

自分が内地へ出たのを確認すると暴風がさらに猛威を振るった
放たれた大雨が、人の視界をあとかたもなく消し去った

そして…

「もう傘なんて… 意味が無いから…」

道端で折れて捨てられていく傘
結局昔の傘も今の傘も雨を遮断する事はできなかった
だから、人が次に開発する傘の形に救われるように祈りながら…

「レインコートで… いいじゃん」

捨てられていく傘を見送った
その直後、自分の名を呼びながらあたりを見回すお天気キャスターの中継車を見つけた

車内ではすでに放映の準備ができていた
カメラには防水シートがかけられ、新人キャスターがマイクを構えて外の様子を伝えようとしている
しかしその時異変が起こった
中継車のアンテナが木にひっかかり、画面が砂嵐にのまれていった

新人キャスターも既にキュー待ちで身動きがとれなくなっていた
少しでも動けば、そのままアンテナもろともポッキリ折れる
そのまま耐えていれば中継ができずに視聴率が下降してしまう

中継車はアンテナが曲がってしまうぐらい精一杯折れないように耐えていた
が、今にもそのまま枝もろとも逝ってしまう勢いだった

「ふん、お前らの勝手だがな、その前に右によけろ」

自分もつくづく甘いものだ…と思う
サーファーや土産物屋に感化されたのか…それとも皆勤賞を狙うチビッ子の泣き顔g忘れられないのか…
風は突然左方面から吹き、ひっかかた枝を外した
中継車のアンテナの無事とともに、キューが出される
こちらを見上げている新人キャスター
何か言いたそうな顔をしているが何も言わず
まるで記憶に焼き付けるかのようにこちらをじっと見据えたまま倒れた

熱供給が途切れ、勢力は弱まっていく
何もかも吹き飛ばそうとした自分はそこになく、それはまだ熱帯低気圧として生まれたばかりの自分のようだった
空から光がこぼれ始めた
その光に飲み込まれるかのように自分の体も消えていこうとしている

「おい、新人!!」

車内から声がする
必死に車内から出てくるディレクター
決して走れる体力など残っていないであろうに息をきらして必死に新人キャスターへと向かっていく
弱った、出来れば死人は出したくなかった…
いや、それは嘘だ、何の被害も出したくなかったのなら、熱帯低気圧だった時に消えていた
こうして今から交わすであろう別れのために自分は死に体でありながらも現界し、ここに赴いたのであろう
自分の犠牲になった彼女にだけでも、きちんと別れを告げよう…、未練がないといえば嘘になる
だが… 台風の衰弱には水蒸気の供給を絶つ事が必要で、それにはまた陸地に上がる事が必要なのだ

そうして彼女の真上で自分は温帯低気圧になっていった


-Interlude out-
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