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脳内ドラえもん -ダンディズム編-
2005-08-09 Tue 16:52
「分かりやすいものを...」とコメントされたのだが、さて分かりやすいものとはなんぞや?って話に自分の中でなってしまった。
もともと雑記なのだが、日常チャメシゴトを書いても何だし、じゃあ、まぁ創作かなと思ってみた。

てわけで、「朝晩」創作短編

脳内ドラえもん -ダンディズム編-

を書いてみた。
今回は少し長いので分けた。






時は2005年。
小学4年生だったのび太も、中学に入るとその頭角を現し、今では一企業の常務にまで上り詰めていた。高校卒業と同時に想い焦がれていた少女・しずかと結婚し、翌年 長男・のび助を授かる。
友人にも恵まれた。
個性的な歌声で世界のスターダムに名を連ねるグラミーシンガー・剛田たけし。
巧みな話術で難交渉をいくつも論破してきたFBIネゴシエーター・骨川スネ夫。
日本の根底を覆す政論を発表し、自身も財政界に身を置く若き政治家・出木杉英才。
順風満帆に見えた彼の人生。
しかし、何か物足りなかった。

― そう、ここにドラえもんはもういない...
役目を終えたと判断したドラえもんは、未来に戻った。
幼少の頃、あれだけ心の支えとなってくれていたにも関わらず、まともにお礼も言えなかった。それだけが、今でものび太の心残りとなっていた。

「もう、会うことは無いのだろうか?」

日々、意味の無い自問自答を繰り返すのび太。
今はもう誰も済んでいない実家に顔を出し、机の引出しを開けてみるも、あの頃の「日常」をそこになかった。

「っと、明日は朝一で経営会議だった。早く帰らないと。」

机を背にし、部屋を出ようと襖に手をかけたその時

(ガタッ... ガタ...ガタッガタガタ)

突然机が揺れ始めた。

(まさか?!)

すぐさま机の引出しを開けるのび太。
引き出しの底がなくなっている。それと、この感覚。
覚えている。
知っている。
引き出しに向かってその名前を大声で叫ぶ。

「ドラえも~ん!!」

応えるように、机からそれは飛び出してきた。

「のび太くん!!」

驚き、仰け反るのび太をの前で、あの頃とまったく変わらない姿で、あの頃とまったく同じ声で、あの頃とまったく同じあらわれ方で、あの「日常」が戻ってきた。

「ドラえもん、ドラえもん、ドラえもん」

どれだけ待ち望んでいたか分からない。
それでも、その願いが叶った事を誇示するように、のび太の目から大粒の涙が零れ落ちる。
名前を出す度に、涙があふれ出てくる。

「のび太くん、立派になったね。」

そっと肩に手をかけるドラえもん

「でも、泣き虫は変わっていないみたいだね?」

そう言って、丸い手でのび太の涙をぬぐった。

「ドラえもん...」

「ごめんね突然。大人になった君にどうし...」

「ちがうよ。」

ドラえもんの言葉を遮るのび太。
涙を拭いた、そっとドラえもんに抱きかかり

「おかえり、ドラえもん」

そう言ってまた涙をこぼした。
気丈に振舞うのび太。それがドラえもんにとってすごく嬉しかった。

「ただいま、のび太くん」

しばらくの沈黙は、のび太が立ち上がる事で破られた。

「ドラえもん、うちに寄って行ってよ。しずかちゃんやのび助にも会わせたいし。親父たちも一緒に住んでいるんだ。」

「うん、じゃあどこでもドアで。」

昔と同じ仕草でポケットから秘密の道具を取り出すドラえもん。
開いたドアの先には、今ののび太の家が広がっていた。

「どこでもドア?!」

ドアを覗き込む女性。野比夫人のしずかちゃんだ。

「ドラちゃん!!」

目を丸くし、未だ信じられないという面持ちでドアの先を見つめるしずかちゃん。

「何やってるの?早く上がって。」

のび太に手を引かれ、歩を進めるドラえもん。
部屋に入り、道具をポケットの中に戻した。

「うわぁ、懐かしいわぁ。」

丸い手を握りしめるしずかちゃん。

「あれ、のび助は?寝てるのか?」

辺りを見回すのび太。自分の息子の姿が見えなかった。

「お義母さん達と温泉に出かけたわ。明後日には帰ってくるって連絡があったわよ。」
「またのび助を連れまわしてるのか?困ったもんだ。ドラえもんに会わせたかったのに。」

そんなやり取りを聞いてドラえもんが微笑んでいた。

「本当、立派になったね二人とも。」
「それはそうよ。ドラちゃんが帰ってから何年経ったと思ってるの?」
「ちゃんと挨拶もできなくて、それだけが心残りだったんだよ。」
「ごめんね。のび太くんに僕はもう必要ないと感じて、長居すると未練になりそうだったから...」
「んもう、そんな事ないのに。」

(ゴーン、ゴーン、ゴーン...)

突然、時計の音がリビングに鳴り響く。

「あら、あなた。もうこんな時間よ。朝一で会議でしょ?」
「あ、本当だ。...いいよ、用意して会社の近くのバーでドラえもんと時間を潰すから。」
「ダメだよ、のび太くん。早く寝ないと。」
「いいから。しずかちゃん、ごめん。先に寝てて。」

無言で頷くしずかちゃん。

「あ、ドラちゃん、明日はまだこっちにいるんでしょ?夕飯は食べていってね。ごちそう作るからね。あなたも明日は早く帰ってきてね。」

そういい残し、リビングから出て行った。

「じゃあ、ドラえもん。明け方までやってるバーがあるんだ。そこに行こう。」

のび太はネクタイを締めなおし、バッグを持った。
既にどこでもドアは用意され、ドアの向こう側はのび太の会社近くの公園につながっていた。

少し歩くと、小洒落た看板が見えた。
決して新しくは無い、年代を感じさせる緩やかな階段を降りていく。
木製のドアを開けるとカウンターと数席のテーブル席だけがある小さなバーだった。

(ちりんちりん)

ドアについていた鈴がなる。
カウンターの向こう側に立っていた白髪のマスターが顔を上げた。

「野比さん。ご無沙汰しています。珍しいですね、こんな時間に。」
「久しぶりに親友にあってね。ほら、昔話した事のある。」
「あぁ、あなたがドラえもんさんですか。本当にタヌ... っと失礼。そうですか、ではこちらにどうぞ。」

マスターの手に導かれるように、二人がカウンター席に座る。
既に夜も更け、二人以外の客はいなかった。

「野比さんはいつものでよろしいですね。ドラえもんさんは?」
「え?あぁ、じゃあ僕ものび太くんと同じもので。」
「かしこまりました。」

四角い氷を、きれいに丸くシェービングしていくマスター。
しばし、その技に見とれるドラえもん。

「未来には、こういう場所ないの?」
「全部機械でやっちゃうし、お酒も酔うけどアルコールの入っていない擬似的なものばかりだよ。」

と、目は物珍しそうにマスターの手から離れないまま、のび太の問いに答えた。

完全な球体となった氷をグラスに入れ、そこにスコッチが注がれた。
琥珀色よりもう少し濃い液体が、二人の前に甘い香りを広げた。

「ごゆっくり、どうぞ。」

二人の前にグラスが置かれる。
すかさずそのグラスを持ってカチンと無言の乾杯をかわす。
一口か二口。スコッチを口に含み、息をつく。
先に口を開いたのはのび太だった。

「今回は、何でこっちに来たの?」

ドラえもんがグラスを置き答える。

「だから君の顔を見にって」
「嘘...つかなくていいよ。」
「...」
「もっと、大切な事でしょ?」

ガッとグラスに残ったウィスキーを飲み干すのび太。

「マスター、同じ者をもう一つ。」
「のび太くん。...実は、ミーちゃんを迎えようと思って。」
「ミーちゃんを?」
「うん、一緒に未来で暮らしたいと思ってさ。だけど、挨拶もしないまま分かれちゃったから...」
「それなら... 大丈夫だよ。」

新しいグラスがのび太の前に置かれる。
手に取って、グラスをクルクルと回す。

「ミーちゃんは、まだあの家の屋根に来るよ。君の事を待ってるんだ、ずっと。その為に、あの家を壊さないでいるんだから。」
「のび太くん...」
「糸無し糸電話、あるでしょ?気持ち、伝えちゃいなよ。じゃないと、何も始まらないよ。」
「...」

そっとポケットの中から糸無し糸電話を出して、片方を外に出した。
速度を上げつつ、片方の電話がのび太の誰もいない実家の屋根に降り立つ。

「大丈夫かな?」

ドラえもんは不安げな顔でのび太を見る。

「大丈夫だよ。僕の知ってるミーちゃんは、嫌いになったやつを待ち続けられるほど器用な猫じゃないから。ほら... 早く話しなよ。」
「うん。...あの...、ミーちゃん?」

声はない。

「僕、君と一緒にいたくて、一緒に未来で住みたくて戻ってきたんだ。」

それでも声は無い。

「勝手に帰っちゃって、寂しい思いをさせちゃってすごく悪いと思ってる。だから、今度はそんな思いをさせないから。ミーちゃん... 一緒に未来へ行こう。」

「...ニャー」

「ミーちゃん?!」

「ニャー」

「許してくれるの?うん、そう... うん、ごめんね。本当にごめんね。」

「ニャー、ニャー」

「え、今から?」

ドラえもんがのびたの方をチラッと見る。
のび太が片手を振って「行け、行け」とサインを出していた。

「うん、大丈夫。今すぐ行くから。うん、待ってて。」

音声が切れる。

「のび太くん...」
「いいから、早く行きなよ。っと、帰る前に一度家に顔出してくれよ。僕も今日は会議終わったら早く帰るから。」
「わかったよ。じゃあ、いってくるね。」

どこでもドアが出され、ドラえもんはドアの向こうに消えていった。
と、同時にドアそのものも姿を消す。

(ふぅ...)

ため息をつくのび太。

「マスター、何かこういう時に合うものを頂戴。」
「そうですね。それでは甘いポートワインなどいかがでしょう?」
「じゃあ、それを。銘柄は任せるよ。」
「かしこまりました。」

小さ目のワイングラスに少しだけ注がれるワイン。

「これは、お店からという事で。」
「...わるいね、マスター。」

ワイングラスの足を持って回し、ワインに空気を含ませる。

「おめでとう... ドラえもん...」

ポートワインの甘さが、心に染みる。
そんな夜更けの出来事だった。


脳内ドラえもん -ダンディズム編-


BGM:Wedding Song (Kenny G)


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この記事のコメント
今回は分かった!脳内ドラえもん、面白かったよ。僕のドラえもん基礎知識が貧しいもんでミーちゃんがどんなんだったか気になってる・・・
2005-08-09 Tue 19:53 | URL | 陸 #79D/WHSg[ 内容変更]
ぬぉ~、感動してしまったよ...。
2005-08-10 Wed 18:01 | URL | UD #79D/WHSg[ 内容変更]
ミーちゃんはドラえもんといつも屋根の上で語りあってる猫ですよ。
2005-08-10 Wed 23:02 | URL | ad82 #79D/WHSg[ 内容変更]
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